ヤマユリ発芽促進温度処理
ソメイヨシノの季節ですが、、、用意しながら忘れていた話題を一つ。
職場周辺にはヤマユリ(山百合)が自生しています。
元より自生種なのですが開発に伴い移植されたりした物も多くあり、それらがこぼれ種で増えて、でも群落とまでは言えませんが季節になればあちこちで大きな花を咲かせます。
ところが、昨年は気候変動のためか、かなりの株が餌を求めてきたイノシシなどに掘り起こされてしまって、今年以降の開花は淋しいものとなりそうです。
(大きなユリ根は彼らにとっても美味しいらしいです)
ただイノシシならまだしも、来場者による盗掘も少なからずあったりして・・・
そこで、残った株から種を採取し、採り蒔きをして増やしていこう、と言うのが現在のテーマでもあったりします。
▽一株に18の花を付けた。
残念ながら咲いているところは見られなかったけれど、駐車場脇のよく目に付く場所で2m以上に生長していた。
このまま朔が弾けても、周囲はアスファルトだから。。。
▽朔花(さっか=「くさかんむり」に朔・花)を開いて種を回収した(これでもまだ半分ちょっと)
重さを量っておけば良かったかも。
しかしながら、ヤマユリの種は高温休眠打破による発芽ですので、育てる方も忍耐が必要です。
詳細は以下の論文pdfをご覧下さいませ。
福島県農業試験場研究報告 第23号
http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/pdf/PREF/29-3303.pdf
III 種子の発芽について※上記の1~5は経過年に相当する訳ではありません
オトメユリ、ヤマユリともに秋に採集した種子をは種しても翌春には発芽しない。翌年の夏が過ぎてから地下での発芽が始まり、冬の低温を経ては種後2年目の春にようやく地上部に芽を出してくる。いわゆる"地下発芽型"のユリである。
第5表 地下発芽型ユリの地上発芽のためのステージ
1ステージ I 地下発芽誘導期
2 〃 II 地下発芽期
3 〃 III 小球形成期
4 〃 IV 低温感温期
5 〃 V 展 葉 期
初めての春には何も起こらず、一度暑い夏を経験してから次の冬を経験してようやく地下で発芽し、それがまた次の年に小球根を作り、そしてまたその次の年(つまり3年目)にようやく小さな芽を出し、球根を肥大させ、4年目でやっと地上部に出た株を成長させ、そしてそして、花が咲くまでにはどんなに早くても5年は掛るという大器晩成型なのです。
そこで、この最初の休眠打破(上記引用先の「1ステージ I 地下発芽誘導期」にあたる部分)を人為的に行い、1年短縮してやろうという魂胆です。
高温処理とか恒温処理とか変温処理とか、色々な言い方があるようです。
▽昨年12月から高温処理を施し、3月に発芽を確認しました。
結構適当なやり方でしたけれど、思いの外の好成績です。
詳細は、、、