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2008年05月11日

マリア・パヘス 2008 東京

  [Stage]

2008年5月9日と11日、東京国際フォーラム ホールCでのマリア・パヘスの舞台を観てきました。
9日は新作の「セルフポートレート」、そして11日は前回来日時の演目「セビージャ」の完全版です。

今回は(特にこれといった理由があるわけではありませんが)、あえて予備知識無しで観てまいりました。
劇評というか詳細且つ的確なレポートはパセオフラメンコの社長も大絶賛の"マリア・パヘスを語れる人"、とんがりやまさん [踊る阿呆を、観る阿呆] のところでお読みいただけますので、是非そちらを。

さて、御大にTB打ち込ませていただいたところで私は、、、



んで私の感想ですが、まず9日の「セルフポートレート」を観て思ったのは、もしかすると観る人によっては評価が分かれるかも?って気がしたんですね。そして11日の「セビージャ(完全版)」では、驚いたことに2006年の来日公演の時 [gandalf.jp] より縮小!?されている様子。
確かに付け足すことばかりが正しいわけではなくて、入れ替えたり削り落としたりすることも必要なのですが、今回のセビージャでは2-3カ所でしょうか、前回私が(勝手に)この演目の「要」と感じた部分が削ぎ落とされてしまっていて、この変化というか変更をどう受け止めるべきか、いまだにまとまりません。

もちろん、もの凄く質の高いステージで私自身は今回の構成も結構好きですが、構成以外にもなにかしら前回までとは違う雰囲気となっています。
上手く表現できませんが、以前のような空気の擦れ合う音さえ聞こえそうなくらい張りつめた緊張感が、今回は感じられません。その代わりに、今年のステージからは緩やかな「風」、或いは「水の流れ」(川?それとも波?)のようなものを感じました。
2006年のセビージャでは、それこそ気持ちよいほどに終始圧倒され続けていたのですが、今回のセビージャはそれらとは別の、緩やかな流れに身を包まれるような気持ちよさがありました。

9日、11日と共通しますが、あのしなやかで独特な腕の使い方、ネコ科の大型肉食獣を思わせるような身のこなしは衰えていませんし、ステージから観客に見せる、その見せ方のうまさも格別です。
何というか、上手く表現できませんが、よく言えば「熟成された」と言うことでしょうか。
例えば---ここでワインを出して例えると格好良いんでしょうが、残念ながらそちらには明るくないのでシングルモルトで---シングルモルト・ウィスキーで言えば、以前はスタンダードでは無いにせよ、16年から20年クラスの、でも樽出しのカスクストレングスの如くに強烈な個性とパワーを前面に出していたものが、今回は25年を超える長期熟成モルトのように、オリジナルの風合いや個性は残しながらも別物に変貌しているような、そんな不思議さがありました。
抜いているわけでもなく流しているわけでもないのですが、やはり「セビージャ」については、あのヒラルダの塔のシーン、ラストの物足りなさが残ります。

遡って9日の「セルフポートレート」ですが、舞台としての面白さは以前のスクリーンを使ったシルエット技法はないものの、別のまた新しい「大鏡」で見せてくれました。
高さが3.5m?、4m?はあろうかという1枚鏡が、時に客席に背を向けたマリア・パヘスの表情を映し出し、時にあたかも影のように彼女とシンクロして舞台を移動します。
半固定ならともかく、あの大きさの鏡をマリア・パヘスの動きに合わせて移動させるんですよ!
本当によく考えられていますし、舞台での見せ方が上手いですね。

構成は「スタジオ」「家」「楽屋」「舞台」の4場です。
冒頭からサパテアードを多く使いますが、そんな中でもやはりマリア・パヘスのブラソ、腕の使い方は気絶しそうなほどに妖艶です。また今回の「セルフポートレート」では、時折ですがこれまでになかったようなセクシーな動きをします。
そして圧巻は、(えーと、具体的にはどの場になるのでしょうか、正確な流れを思い出せないのです、、、)まるで巨大な鳥が翼を広げ、羽ばたき、舞い踊り、そしてその翼を抱え込むように折りたたみ休息を、、、これは凄いです。溜め息も出ないほどの美しさです。
いやあれは「鳥」だろうか?ってずうっと考えていました。
羽ばたくように柔らかく舞いますが、一方で踏みしめ圧倒する力強さは、何かまた、鳥では無く、しかし翼を持った・・・
サモトラケのニケ [ ルーヴル美術館] でしょうか。
なんだかまた凄いもの見ちゃったような気がします。

うん、いやあ、何か気になるところはあるのですが・・・他の方の感想はどうだったのでしょうか、カーテンコールの時にも大向こうからの声はあまりなかったし、スタンディングオベーションもなかったような・・・もちろんそれが評価の基準ではありませんけれどもね。
「セビージャ」のラストにこだわるわけではないですが、若干腑に落ちきっていない所もありますが、私的には素晴らしいステージだったと思っております。

それにしても、一々DVDか何かで見返したいと思ってしまうのは、最近の悪い癖ですね。
(DVD出ねえのかなぁ、、、)

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2008年05月11日 23:06に投稿されたエントリーのページです。

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