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2004年09月21日

ふたつのNikon

  [photo]

発売時期は違うけれど、同時発表された、いわば「双子」のNikon

先進機能と最高の信頼性、ニコンFシリーズの伝統を受け継ぐ最高級フィルム一眼レフカメラ 「ニコン F6」の発売について   2004年9月16日

 株式会社ニコン(社長:嶋村 輝郎)の子会社、ニコンカメラ販売株式会社(社長:西岡 隆男)は、先進機能とニコンFシリーズの伝統を受け継ぎ、プロをはじめあらゆる撮影者の厳しいニーズにこたえる最高級フィルム一眼レフカメラ

「F6」

を発売します。

● 発売概要
商品名 フィルム 一眼レフカメラ「ニコン F6」
希望小売価格 300,000円(税込315,000円)
発売予定日 2004年10月22日
予定生産台数 当初月産5,000台

12.4メガピクセルの高画質で5コマ/秒の高速性能を実現、プロのためのデジタル一眼レフデジタル一眼レフカメラ「ニコン D2X」の発売について  2004年9月16日

 株式会社ニコン(社長:嶋村 輝郎)の子会社、ニコンカメラ販売株式会社(社長:西岡 隆男)は、高画素・高画質の有効画素数12.4メガピクセル、5コマ/秒の連続撮影、さらに「クロップ高速機能」(撮像面中心部分を6.8メガピクセルで切り出し)により8コマ/秒での高速連続撮影が可能なハイエンドデジタル一眼レフカメラ

「D2X」

を発売します。

● 発売概要
商品名 デジタル一眼レフカメラ 「ニコンD2X」
希望小売価格 600,000円(税込630,000円)
発売予定日 2005年1月
予定生産台数 当初月産8千台

ありがたや、ありがたや、、、

相変わらずおもしろい会社ですわ、Nikonって。

もちろんプロにもフィルムカメラの需要はまだまだあるし、フィルムでなければ再現出来ない世界というのもあります。でも、今この時期に敢えて「第6のF」をリリースする意味は何でしょうか?
現実問題として、多くのプロでさえF5Nikonで十分な筈です。
単なるノスタルジックな試みなら、既にNikon自身が実現(Nikon「デジタルアーカイブズ」)しました。

企業の経営状況やら何やらを考えると、ごく一部のプロや酔狂な旦那衆の為の機材を出している場合ではないようにも思えるんですが、どうなんでしょう。
でも、Nikonは「出ますよ」と言っていたし、多くのNikonユーザは(たとえその言葉が無くとも)出ると信じていました。
かつては何かにつけて比較対象とされていたCanonが、莫大なカネをつぎ込んだイメージ戦略でNikonを置いてきぼりにしようとしている中、Nikonは本当にこれで良いのでしょうか?

# ユーザー側からすれば、こんなにありがたいことはないです。
 安くはないが、取り敢えずは28万円くらいで買えるでしょう。
  これが安いか高いかは、使う側の気持ち次第ですが・・・

完成度の高かったあのF5でさえ、プロ・アマ問わず多くのユーザーからのフィードバックがあったはず。
「だから」、更なる進化を遂げた「6番目のF」を出した。
Nikonにしてみればそれだけのことなのかも知れない。
勿論、利益度外視なんて事はあり得ないわけでそれなりの勝算があるわけだろうが、もう少しキヤノンみたいに中身はおいといて、カタログスペック重視の「金儲け"商品"」も考えても良いのではないだろうか?
その辺がFからの伝統だったりもするワケなのですが、、、

 需要の急増に対応してカメラ事業部は生産スペースを拡大し、(中略)しかし、この間も販売台数は激増を続け、生産が需要に追われる状態が長期間にわたった。
 このような状況を作家の城山 三郎は、「カメラ毎日」誌45年3月号に「「ニコン F」はなぜ買えぬ」と題して、品不足の原因は技術者的な誠実さをもつ日本光学の社風にあり、これがニコンの信用を不動なものにしたわけだが、同時に増産へのブレーキともなっていると述べ、「品不足はなおつづくであろう。日本光学が技術中心の誠実な社風をすてない限り」と結んでいる。

やはり暫くは品薄で買えないんでしょうね。
すると、おばかなB○cカメラあたりのサポート店員が「不具合が出て回収(改修?)になりました」とか、いつも聞き慣れたウソをまことしとやかに流すんだろうが、、、

Nikonのカメラ部門がジリ貧になってしまったら、ユーザーとしては困るんですよ。
こんな馬鹿正直で面倒見の良い会社、今時ないから・・・

1959年発売の「F」からひたすら続く、最高の"道具"としての「F一桁」シリーズは、それを必要とする人がいる限り、相も変わらず、当たり前のようにサポートされ続けるのでしょう。

それはデジタルの時代になっても変わることのない、Nikonの姿だと思います。
予想通りPhotokina(日本語情報サイトはこちらでお披露目されるD2Xが、最新のNikonです。
12.4メガピクセルのCMOSは、使う側にもそれなりの覚悟と設備投資がいるものです。
電子部品の劣化や消耗は、過去のカメラのように、40年、50年経っても可能な限りサポートを続けるなどというわけにはいかないでしょう。
でも、それでもNikonを選ぶ理由は、やはりあのサポートです。
勿論、機械自身にも信頼が必要です。
デジタルの時代になって、それは更に重要なことかも知れません。

今のデジタル一眼レフの売れ筋はキヤノンのキスデジだそうです。
私自身はキヤノンのデジタルカメラが作る絵は苦手です。
「記憶色」優先で、一見発色の良い絵に見えながら、実は妙にノッペリしている絵画のような画像は、あまりにも奥深いモノクロの世界を知らない人たちにとっては、素晴らしいものなのかも知れません。
額に刻み込まれた皺や、柔らかな日差しにそよぐ木の葉の葉脈、足音の響きが聞こえるような路地裏の光景、、、そういった写真本来の良さ、写真の持つ力を、私は大事にしたいのです。
(そんなことを言いながら、近頃はクローズアップばかりですが、、、)
日本の湿気の多い空が、カリフォルニアの空と同じ色に写る筈なんて無いんです。
そんな必要はないのに、カメラが勝手に処理してしまうなんて馬鹿げています。

でも、今はそんなカメラが人気なのです。
Nikonには頑張って欲しい。
Fシリーズが築いてきた伝統は、必ず引き継いで行かなければならないものだから。

Nikonのカメラは、レンジファインダーの時代からあのグラフィックデザインの大御所、有名な東京オリンピックのポスターやGマークでお馴染みの、亀倉雄策氏が関わっていました。

 ニコンFの誕生には、日本光学技術陣のほかに、社外にもうひとり有力なアドバイザーがいた。1991年に文化功労賞を受けた亀倉雄策氏である。当時、亀倉氏はニコンFのデザイン設計に大きく関わっていた。デザイナーがカメラの開発に参加した初めてのケースである。

既に終わっちゃいましたが、特別展・亀倉雄策のポスター 1996年8月6日(火)~9月21日(土) ~東京国立近代美術館~
行きたかったですね。

今の日本のカメラ・写真大国を築いた、木村伊兵衛、土門拳、三木淳、そして亀倉雄策、、、みんなNikon Fに関わりのある人たちです。
先人の抱いた夢を実現し、サポートし続けてきたNikonには、これから先も素晴らしい"製品"を作り続けて欲しいのです。

これから写真・カメラを始めたいという人には、いつもNikonのFMシリーズを薦めています。
簡単で、写真のことを覚えるには都合が良く、壊れにくく、いざというときのサポートが良い。
Nikonには今後も自信を持って人に勧められるカメラメーカーであって欲しいです。

 以上、Nikonが好きなマニアの戯言でした。。。(下手の横好きですが何か?)

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2004年09月21日 21:36に投稿されたエントリーのページです。

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